[:ja]日程: 2017/5/29 Mon. 17:30-
場所: room336@Science building #1
話題提供:鍵 裕之教授(理学系研究科・地殻化学実験施設)
題名: 高圧下でアミノ酸をつなぐ
要旨:アミノ酸は生物体を構成する基本的な分子である。これまで衝撃実験、高温高圧実験、熱水実験からアミノ酸のオリゴマー化が報告され、前生物的(abiotic)環境でのペプチド生成の可能性が議論されてきた。我々は氷惑星内部を想定して、室温条件での高圧実験からアミノ酸のペプチド生成の可能性を検討している。光学異性体をもつ最小のアミノ酸であるアラニンを出発試料として、水を圧力媒体として高圧実験を行った。5 GPa以上の圧力条件でアラニンのオリゴマー化が観察され、11量体程度までのペプチドが生成している。アミノ酸のペプチド化は脱水縮合であるため、水が共存する条件では反応は進みにくいと考えられるが、今回の実験では水が共存する条件で脱水縮合が起こっている。また、我々の実験ではアミノ酸が飽和もしくは過飽和の状態で実験を行っているが、実際の自然界ではアミノ酸の濃度ははるかに低いはずである。これらの問題点を踏まえて、圧力誘起ペプチド生成のメカニズムについて議論する。[:]