発表者 荻原成騎
題名 アンモナイトに教わった事
学部1年2年時に北海道の白亜系を踏査し、多種のアンモナイトを採取した。地質学、堆積岩岩石学の体系的な教育を受けていない状態での沢歩きによって得られた知識やアイデアは、先入観ない子供の考えの如きであり、今でも面白い部分もある。たとえば、雨が降って濁る川は第三系、濁らないのは白亜系なのでアンモナイトがとれる、などという経験測を身に付けた。ある時からアンモナイトその物に対する直接的興味は失せ、アンモナイトに関係した現象に興味を持ち始めた。その経験と知識、疑問は現在でも役立っている。研究テーマとして具体的には、
1. ノジュールの成因:化石が入っているノジュール、入っていないノジュールの違い。大きさと形の多様性。内部構造の有無。硬さ、弾力、匂い、肌の違い、などはなぜ生ずるのか。
2. 化石化の過程:ノジュールに入るアンモナイトと入らないアンモナイトの違い(石化過程の違い)ノジュールに見られるアンモナイトの断面はどのようにできるのか。
3. 化石の密集様式:密集したアンモナイトの種類と殻の保存状態。
4. 不可思議なレンズ状石灰岩と含まれる見たこともない化石
今回の発表では、3と4についてこれまでの研究内容を紹介する。
3.同一のノジュール中に、保存の良い住房まで残ったアンモナイトが、単一種で農集することがある。万字のReesidites minimus、三笠/芦別のAnagaudryceras limatum、さらに羽幌のEupachydiscus haradaiなどが知られ、鍵層としても用いられる。採取したアンモナイトの密集と現生のオウムガイを比較して、農集の過程、原因を議論する。
4.不可思議なレンズ状石灰岩とは、冷湧水石灰岩である。これまでの研究において、炭酸塩炭素酸素同位体、ANME起源のバイオマーカーの組成、具体的には膜脂質であるtailto tail 型結合を含むiaoprenoidの一種crocetaneとPMIの濃度、さらに個別炭素同位体組成の研究を行ない冷湧水炭酸塩に関与したANMEの進化について議論した。今回は、北海道白亜系冷湧水炭酸塩の希土類元素組成について、まとめを発表する。